
『楽園王国 タヒチ』
三好のタヒチ写真集は、この「楽園王国tahiti」の他に「タヒチ伝説の楽園」があるが、個人的にはこちらの「楽園王国tahiti」の方が好きだ。こちらの方はハードカバーで印刷が綺麗という理由もあるが、何より違いはその被写体。「タヒチ伝説の楽園」が自然の写真集だとすれば、「楽園王国tahiti」は人の写真集なのだ。
「タヒチは本当に住んでいる人が良い」と常日頃から口にする三好の気持ちもわかる。穏やかに歯にかんだ表情は優しさがにじみ出ているし、情熱的に大笑いをする表情は楽しくてしようがない様子だ。そんな人たちは見ていると幸せになれる。
巻末にある「私的楽園案内」と題した特集もこれからタヒチに行く人たちには大いに役立つと思う。行かなければわからない現地の習慣や風土、島ごとに書かれた細かい説明は驚きと発見の連続だった。
余談だが本書に収録されているモーレア島の写真は、桐野夏生さんの小説「東京島」のカバー写真として使用されている。