「サハラ!金の砂 銀の星」
この本の出版当時、三好和義は定期的に「週刊文春」の特大号のグラビアの撮影をしていた。
その頃の「週刊文春」には、今やコメンテーターでとして有名な勝谷誠彦がいてグラビアを担当していた。写真に人一倍、理解と興味を持っていた勝谷との出会いでこの傑作写真集が生まれた。
まるで月面のように見えるサハラ砂漠。シルキーで触れれば滑らかな衣擦れの音がしそうな美しいモノクロ写真。現実は、過酷な砂漠の中で撮影が行われた。
サン=テグジュペリが好きな三好和義は、そこにサハラに散った彼の面影を見たのだろうか。
「週刊誌」のグラビアというキッカケから生まれた写真はその後、編集者の手により、特別な写真集に生まれ変わった。
特にこの時、こだわったのが活版印刷。浮き出るような明朝文字。失われゆく技術の伝承。その記憶。
昼夜を問わず行われた撮影の合間に見あげた青空をきっかけに、三好は、ふるさと吉野川を撮った。
解説は三好和義の師匠、杵島隆。
序文・伊集院静
アートディレクション・阿部竜平